11. Peptide Sequencerの使用法(横溝岳彦)
(Shimadzu PPSQ-10)

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(はじめに)
Pepide Sequenceは基本的に自動化されており、Sequence自体は決して困難ではない。問題はSequence使用とするPeptideのPurityとQuantityである。特にPurityは重要であり、一般には95%以上が必要とされる。Sequenceはお金も暇もかかるので、事前にSDS-PAGEとHPLCでSingle proteinであることを確認すること。島津に一番問い合わせが多いのは、「サンプルを打ってもアミノ酸スタンダードのチャートが打ち出されるのだが・・・」という質問だそうである。この笑い話の意味が分からない人はSequenceに入る前にEdman分解の勉強をして下さい。Shimadzu PPSQ-10はカタログ上、25 pmolで30残基読めると言われているが、実際に自信を持って読むためには、50-100 pmolのPeptideであることが望ましい。(MW 10,000 で 0.5-1 μg相当)
Edman分解ではCysは検出できず、N末の最初(大抵はMet)も検出されないのが普通である。

(サンプルの準備)
Pepide Sequenceには塩を含んだサンプルは使えないので、原則としてHPLCでの分取を行う。通常、0.1% TFA Water→0.1% TFA Acetinitril へのLinear gradientで分取し、そのままSequencerにLoadできる。
(例)Trypsin digestion

Target protein                          1 nmol
10 x Buffer (1M Tris-HCl ph 8.5)       10 μl
Trypsin                                 5 μg 
----------------------------
Total 100 μl 37 ℃ 12h


以上をHPLCにInjectすると、回収率50%で一つのピークが約500μlに回収されるので大体1 pmol/ 1μlとなる。(100 μl乗せれば十分)

(Sequenceに必要な試薬)
マニュアルを参考のこと。基本的には試薬は長持ちしないので、その都度購入する必要がある。試薬瓶を取り替えたら、紙テープに開封日を書いて張り、行ったサイクル数をその都度全ての瓶に記載すること。アミノ酸スタンダードは10 nmol/mlに希釈して-20℃保存できるが、Inject前に再度0.5 nmol/mlに希釈する必要があり、これは半日しか持たない。また希釈は40% Acetonitril, 10 mM Acetic acidで行う。

(サンプルのLoad)
Loadの仕方には2通りあり、グラスファイバーフィルターにポリブレン処理を行って(3時間かかる)Loadするものと、PVDF膜に乗せて乾燥させるものがある。HPLCで分取されたものはかなり希釈されているので後者の方法をProspin column(ABI, 401256)で行うのが簡便で便利である。
(Sequenceの実際)
これはManualに従って行えば必ずできるが、大切なのは直前に毎回、PTHアミノ酸スタンダードでCalibrationを行うことであり、分離不可能なPeakがある時は、移動相の調整を行って、分離できるようにしておくこと。PTHアミノ酸スタンダードでのCalibrationに自信のない時は、島津製作所バイオ瀧井恭啓さんにFaxを送ると確認してくれます。(Tel 075-823-1352, Fax 075-822-2617)

(コメント)
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