RNA抽出法(組織より)山本 寿子

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<用意するもの>


<実験方法>
 抽出;

1、組織をとる20-30分前に、extraction bufferを37 ℃で保温した後、室温に戻す。
2、動物組織を抽出:組織をさいの目に刻み、組織1 g当たりextraction bufferを 18 ml 加える。(30 mlのファルコンチューブ使用)
3、冷やしたホモジナイザーで組織をホモゲナイズする。(熱や泡を最小限に!)
 5,000 x g for 20 min. at 15 ℃ (ベックマンJA-14ローター 6,750 rpm)
(4℃で遠心すると、グアニジンが析出するため)
 透明なSupernatantを移す。

4、30 ml シリンジに18 G 針を付け、Supを通し(10回以上)、ゲノムを切断して、 粘性を減少させる。

 超遠心;

 SW28.1ロータータイプの場合
     CsTFA : Sample loading = 8.5 : 8.0
(遠心チューブにおいてのvoluemの調整が必要な場合extraction bufferを用いる。)
5、CsTFA cushion の上にサンプルの適当量をやさしくのせたチューブをローター に入れる。(チューブのバランスは、必ず電子天秤で行う。)
 125,000 x g for 16 hr at 15 ℃

 RNAの回収;

6、遠心チューブを取り出し、下のように底から1cm残してアスピレーターで液を 除いた後、逆さにして、5分放置する。(グアニジンの入った液 extraction bufferを 捨ててしまうので, これ以降のRNaseのコンタミに注意する。)

7、逆さまにした状態で矢印のところで切るか、またはそこまでキムタオルで拭く。
 チューブを氷上において、250 μl TEbufferでRNAペレットをピペッティングして とかす。
8、滅菌したエッペンドルフチューブに移して十分にvortexし、65 ℃ 10分インキュ ベートする。 (この間も時々vortexする。)
9、最大回転数で10秒遠心し、Supをエッペンドルフチューブに移す。
10、1/10 vol. 2 M KoAc と2.5 vol.EtOHを加え、-20 ℃ 2 hr 以上置く。
11、5,000 x g for 20 min.で、遠心した後, Supを捨て、ペレットを乾燥させて、滅菌したMilliQ適量(またはTE buffer)で溶かす。   但し、ペレットを完全に乾燥すると溶けにくいので注意すること。


 RNA濃度の決定;
 
 吸光光度計にて、A260測定する
  1 A260 unit= 40μg RNA/ml

    (筆者は小腸1 gより1.2 mgのtotal RNAしか得られなかった。)
また、同時に200 ng-500 ngを泳動して、rRNAのバンドを確認すること。


 totalRNAからpolyA+RNAを精製する。


<実験方法>

  12、total RNA 500μg/tubeよりmRNAを精製する。


 13、各々にOligotexTM-dT 30<Super> 0.5 mlを加え、65 ℃ 5 min.加熱後、on ice    で、 急冷して3 min.放置する。
 14、5 M NaCl 0.1 mlを加え、37 ℃ 10 min.インキュベートする。
   15,000 rpm 3 min. 遠心後、Supをピペットで除去する。
 15、ペレットにWashing Buffer 1.25 ml加え、ピペッティングにより完全に懸濁 する。
  (SDSにより泡が発生するので、初めは少量のbufferを加えピペッティングした   後、1.25 mlに調整する。)
 16、15,000 rpm 3 min. 遠心後Supをピペットで除去する。
 17、ペレットをTE Buffer 0.5 ml加え, 完全に懸濁する。
 18、65 ℃ 5 min.加熱後、on ice 3 min.
 19、15,000 rpm 3 min. 遠心後、Sup(polyA+ RNA)を回収する。
 20、それに1/10 vol.KoAc , 2.5vol.EtOHを加え、-80 ℃ 2 hr エタ沈する。
 21、15,000 rpm 20 min.遠心後、Sup捨て、70% EtOHでwashする。
    ペレットを100 μl TEに溶かす。
 22、吸光光度計にてpolyA+RNAの、濃度をチェックする。
  (筆者は小腸においてtotal RNA 500 μgから、14.2 μgしか回収できなかった。)
 23、エタ沈して-80 ℃で保存し、目的の必要に応じた量を用いる。


mRNA抽出法(組織からdirectに抽出する方法)           山本 寿子

この方法は簡便だが、totalRNA→mRNAとStepwiseに精製する方法に比較して、 RNaseの混入は多いように思われる。従って、RNase量の多い臓器(肝、腎)には、適当でないことがある。また、エタ沈での保存も切れやすいため、早めの使用が望ましい。(長期保存には、向かない。)


<準備するもの>


<実験方法>
1、組織0.2 gをはかりとり、Extraction Buffer 0.8 ml 入った10 ml用ファルコンチュー  ブに入れて、よくホモジナイズする。
2、Elution Buffer 1.6 ml を加えて、よくホモジナイズする。( その後この Bufferは   65℃にしておく。)
3、18 G針をつけた30 mlシリンジでゲノムを切る。(10回以上通す)
  8,000xg 1min.遠心する。
ここでOligo(dT)-Cellulose1mlを入れたエッペンドルフチューブも 1min. 遠心する。 その後Supを除く。
4、透明なSup1mlをセルロースペレットにのせピペットで、懸濁する。(小さい  塊ができても無視してよい)次にチューブを3min.転倒混和する。 
5、16,000 x g 10 sec. 遠心し、Supを除く。
6、High-Salt Buffer1 mlを加え、チューブを転倒混和にて、懸濁する。次に、16,000 x g 10 sec. 遠心し、Supを除く。
7、6、を4回繰り返す。
8、Low-Salt Buffer 1 mlを加え、チューブを転倒混和にて、懸濁させる。次に、16.000xg 10 sec. 遠心し、Supを除く。
9、8、を1回繰り返す。
10、Low-Salt Buffer 0.3 mlを加え懸濁させ、そのスラリーをMicro Spin Column(下にエッペンドルフチューブをおいたもの)に移す。
  フルスピードで 5 sec. 遠心する。
11、エッペンに、貯まった液を捨て、Low-Salt Buffer 0.5 mlを再びカラムに加え、フルスピードで5 sec.遠心する。(セルロースペレットをこわさないように!) 12、11、を2回行う。
  滅菌したエッペンドルフチューブの上に、カラムを置き遠心機にセットする。そして、65℃に温められたElution Buffer 0.2 mlをレジンの上に置き、フルスピー  ドで5秒遠心する。
13、さらに、0.2mlのElution Bufferを加え遠心する。
  溶出したmRNAを含むチューブはon iceにしておく。
14、吸光光度計にて、A260測定する。
  1A260unit=40μgRNA/ml
15、エタ沈して-80℃で保存し、目的に応じた量を用いる。
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