第二生化マニュアル目次
1)Amersham RPN1523 Oligonucleotide-directed in vitro mutagenesis
system version 2.1(高野朋子)
mutagenesisには様々な方法がある。速さとしてはPCRによるのが最も速いが、適当な制限酵素サイトが無いとやりにくく、Taq
polymeraseのmisincorporationの問題もある。当教室でいままで主に行われてきたoligonucleotide-directed
mutagenesisについて述べる。
この方法は、Amersham RPN1523 Oligonucleotide-directed in vitro mutagenesis
system version 2.1を使用するもので基本的にはキットに添付されたプロトコールにしたがって行えば高率にmutantが得られる。ただし、mutagenesisを行いたいtemplateのDNAをいったんM13
vectorにサブクローニングし、single strand DNA を用意する必要がある。またmutagenesisが終わった後、再び適当なvectorに入れ直す必要がある。これらの点を改良して、double
strand DNAのまま直接mutagenesis が行えるキットも最近発売されている(Clontech; Transformer
Site-directed Mutagenesis Kit Catalog#K1600-1。このKitは、筆者も使用経験がないので詳しくは、石井功さんに聞いて下さい)。 mutagenesisのためのoligomerは1塩基のmutagenesisなら20Merで十分である。両側に5-6Merの糊代をつければ、一つのoligomerで4塩基までのmutagenesisなら難なくうまくいく。この時、oligomerの中にNciIまたはSmaI
site が無い事が絶対に必要である。一回のmutagenesisで最高3つのoligomerを同時にかえる事ができたが、確立はだいぶ悪い(1/8)。2カ所なら同時にかえられる可能性が高い(1/4)。mutagenesisの成否はsequenceで確認するしかないが、oligomerの中に特定の制限酵素サイトを入れたり潰したりしておくとscreeningが非常に楽である。
時にoligomerの前後で予期せぬ変な挿入や欠失が起こっている事があるので、sequenceは必ず行わなければならない。
基本的にはキットに添付されているプロトコールに従って行う。注意すべき点のみ指摘する。
後は非常に良くできたキットなので、プロトコールに忠実に従って行う。
2) Clontech; Transformer Site-directed Mutagenesis Kit Catalog#K1600-1(横溝岳彦)
前出のkitを用いた際のsubcloningの手間がいらないため、最近は良く用いられている。Double strandのままでmutagenesisが行える事が一番の利点である。原理的には、自分が変えたい部分のoligonucleotideと、selectionのためのoligonucleotideを同時にannealingさせて、変位鎖を合成し、ミスマッチリペアができないmutantであるmut-Sなるstrainの大腸菌をtransformする。そのあと、plasmidを回収し、再度制限酵素でselectionして、再度大腸菌をtransform(これは普通のcompetent
cell)する。
制限酵素siteだけが変わっているplasmidもとれるので、sequenceは不可欠である。
Tipsとしては、annealさせるoligoの純度が大切で、最低でも、HPLC精製が必要である。
また、最初のtransformはClonetechのelectro-competent mut-Sを使った方がいい。自分で作ったcellではうまく行かないことが多い。Chemical
(いわゆるheat shock)も効率が悪い。
(Ref)
1. Yokomizo, et. al, J. Biol. Chem. (1996) 271, p2844-2850
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