17. Site-directed mutagenesis(高野朋子、横溝岳彦)

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1)Amersham RPN1523 Oligonucleotide-directed in vitro mutagenesis system version 2.1(高野朋子)

 mutagenesisには様々な方法がある。速さとしてはPCRによるのが最も速いが、適当な制限酵素サイトが無いとやりにくく、Taq polymeraseのmisincorporationの問題もある。当教室でいままで主に行われてきたoligonucleotide-directed mutagenesisについて述べる。
 この方法は、Amersham RPN1523 Oligonucleotide-directed in vitro mutagenesis system version 2.1を使用するもので基本的にはキットに添付されたプロトコールにしたがって行えば高率にmutantが得られる。ただし、mutagenesisを行いたいtemplateのDNAをいったんM13 vectorにサブクローニングし、single strand DNA を用意する必要がある。またmutagenesisが終わった後、再び適当なvectorに入れ直す必要がある。これらの点を改良して、double strand DNAのまま直接mutagenesis が行えるキットも最近発売されている(Clontech; Transformer Site-directed Mutagenesis Kit Catalog#K1600-1。このKitは、筆者も使用経験がないので詳しくは、石井功さんに聞いて下さい)。 mutagenesisのためのoligomerは1塩基のmutagenesisなら20Merで十分である。両側に5-6Merの糊代をつければ、一つのoligomerで4塩基までのmutagenesisなら難なくうまくいく。この時、oligomerの中にNciIまたはSmaI site が無い事が絶対に必要である。一回のmutagenesisで最高3つのoligomerを同時にかえる事ができたが、確立はだいぶ悪い(1/8)。2カ所なら同時にかえられる可能性が高い(1/4)。mutagenesisの成否はsequenceで確認するしかないが、oligomerの中に特定の制限酵素サイトを入れたり潰したりしておくとscreeningが非常に楽である。 時にoligomerの前後で予期せぬ変な挿入や欠失が起こっている事があるので、sequenceは必ず行わなければならない。
 基本的にはキットに添付されているプロトコールに従って行う。注意すべき点のみ指摘する。


後は非常に良くできたキットなので、プロトコールに忠実に従って行う。

2) Clontech; Transformer Site-directed Mutagenesis Kit Catalog#K1600-1(横溝岳彦)

前出のkitを用いた際のsubcloningの手間がいらないため、最近は良く用いられている。Double strandのままでmutagenesisが行える事が一番の利点である。原理的には、自分が変えたい部分のoligonucleotideと、selectionのためのoligonucleotideを同時にannealingさせて、変位鎖を合成し、ミスマッチリペアができないmutantであるmut-Sなるstrainの大腸菌をtransformする。そのあと、plasmidを回収し、再度制限酵素でselectionして、再度大腸菌をtransform(これは普通のcompetent cell)する。
制限酵素siteだけが変わっているplasmidもとれるので、sequenceは不可欠である。
Tipsとしては、annealさせるoligoの純度が大切で、最低でも、HPLC精製が必要である。
また、最初のtransformはClonetechのelectro-competent mut-Sを使った方がいい。自分で作ったcellではうまく行かないことが多い。Chemical (いわゆるheat shock)も効率が悪い。

(Ref)
1. Yokomizo, et. al, J. Biol. Chem. (1996) 271, p2844-2850

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