20. ABI 373 DNA Sequencer の使い方(FS)(横溝岳彦)

Version up @1998年3月18日


第二生化マニュアル目次
Dye Terminater Cycle Sequencing kitがversion upし、簡単な操作で1tube reactionで400-500bp程度を読むことができるようになりました。このマニュアルだけではなく、必ずSequencerのマニュアルも読んで下さい。同時に24-36sample読めますからsampleが少ないときはお誘い合わせの上、相乗りすることをおすすめします。実際の手間はほとんどゲル板作りです。

標準的なプロトコールとしては
Day0 朝からPlasmid精製、PCR(4h),
Day1 ゲル板作り(慣れれば30 min), PCR産物の精製(30 min)、泳動(1-2 h、後は16h放置)
Day2 解析、片づけ
となりますが、頑張れば、Plasmid精製から当日中に泳動を開始することもできます。

#1 Template Plasmidの調整(Mini-prep+PEG沈法)安いのでできるだけこれで読みましょう。


#2 Qiagen精製のplasmidは、PEG沈無しで読むことができます


*最終的な収量はpGEX-LTB12DH(6000bp、一応high copyですが通常pBluescriptの半分くらいしかとれない)の場合、LB 10mlから5-20 μg(平均15μg), TB 10mlから40-120 μg(平均60μg)でした。pBluescriptではもう少しいいと思います。pGEX場合、templateとして0.5-1 μg使いましたが、34cmのゲルで400 bpまでNが1個あるかないかでした。kit添付のtenplateは550bpまでNo Nです(!)。


#3 Primer
PrimerはSequenaseに使う17mer程度のものではAnnealが悪いので、少し長く作ったPrimerを用いる。一般的に用いられるReverse, M-20, T3, T7, KS, SK(いずれもABI用に作成して読めることを確認済み)はコントロール(M-21)にあわせて、0.8μMに調整して5研の-20 ℃に入っています。自分で作成するときのTmの目安は、2x(A+T)+4x(G+C)で50-60℃(マニュアルでは40-60となっているが、低いと読めない)である。

#4 Cycle sequence反応

Reaction mixture


Hot startは必要ないが、氷上でmixして、circularの温度が96℃に上昇してからHoldしてTubeを差し込んですぐにstartすること。室温からstartするとMiss annealを起こしてしまい、Backgroundが高くなります。なお、FSになってからは、Double strand DNA 0.25-0.5 μgをtemplateにします。
Perkin-ElmerのThermal cycler480では#12(96度30秒、50度15秒、60度4分を25cycle)で、Thermal cycler9600ではFile 8(96度10秒、50度5秒、60度4分を25cycle)で反応させれば自動的にPCRを行って4℃でkeepするように設定してあります。9600はoil freeでOK(micro tubeを使うこと)ですが、480はoilが必要です。

#5 シーケンス反応後の精製

Pelletは見えないことが多いので、注意してエタ沈すること。心配な人はCarrierとして1 mg/ml Glycogenを1 micro L入れてエタ沈すればpptが見えるので安心です。またPelletに色(Pinkのことが多い)が付いているときはバックが高くてまず読めませんから、再度エタ沈を行うこと。

#6 ゲル板の調整
マニュアルでは6%であり、現在マリソル(販売 東洋紡)のPremix gelを使っている。長く読もうとするとき、ゲル板の調整は大変重要で、流し込んでから、最低2時間、気温の低いときは4時間位は放置しておいた方が望ましい。(アクリルアミドの重合が大切のようです)。


#7 泳動


マニュアルに書いていないTips
1)両端のレーンの一つ外側に4 μl のLoading bufferをのせるとSmilingを防ぐことができる。
2)泳動する内に、次第にBackgroundは低くなるので、最初の蛍光光度の設定は高め(青が950位)にしたほうが長く読めます。(PMT voltageの設定)


#8 分析
分析はマニュアルを参考にしていただきたいのですが、注意点を一つ。Gel fileを保存したくなりますが、別の名前にするとシステムが動かなくなるので、絶対に行わないで下さい。どうしてもとっておきたい人は、自分のHard diskか、MOに入れること。原則として泳動の翌朝には必ず解析し、データは自分で管理すること。終えたら誰かが上書きすると考えて下さい。多数のシーケンス反応を統合する際は、ABIの専用ソフトである、Autoassemblerを使うと便利です。



第二生化マニュアル目次