(近況)

2000年12月5日 利根川進先生来訪

学術振興会の招きで、MITの利根川進先生(1987年ノーベル医学生理学賞受賞) が東大医学部を訪れた。医学部大講堂で「学習と記憶の脳科学」と題して、 CRE-loxP 系を用いて、海馬のCA1, CA3 neuronのNMDA受容体の部位特異的なノックア ウトマウスを作成し、前者は空間学習に、また、後者は短期記憶(working memory) に必要であることを、脳内電極法とモリス水迷路を中心に見事に示した。講演会場に は500名近い学生教職員が集まり、講演時間を50分も越えて、熱気あふれる質疑 応答が続いた。利根川氏は同時に日本の大学が変わりつつあるものの、その速度が非 常に遅いこと、また、日本の大学院生が早くから専門化しすぎ、他の分野の知識や興 味が乏しいなどの危険性も警告した。新しい分野に自分の得意の技術で殴り込みをか けるという氏のストラテジーも示された。講演後、教室を訪れ、我々の脂質メディエ ーターと生理機能(脳機能や免疫機能)に関する多くの助言を寄せてくれた。「脂質 というのは、分子生物では今まで目を付けられていなかった分野だから、面白いです ね」というのが利根川氏の感想であった。討論終了後、記念写真が撮られた。院生の 中には、実験ノートのサインをもらう者もいた。


2000年8月31日  河口湖での夏合宿報告

 


3年前から、大学院生を中心の輪読会が始まり、ハイライトは夏の1泊2日の合宿である。一回目は奥多摩、昨年は逗子、そして今年は河口湖畔で行われた。今年のテーマは発生学であり、有名な教科書である「ギルバート」が選ばれ、毎週土曜日に輪読会を続けてきたが、この合宿で大冊を読了した。最新の英語版と最新の和訳を見比べると一目瞭然であるが、この10年間の発生学の進歩はめざましいものがあり、そのダイナミックな動きに触れることが出来たのは有益だった。初日は午後1時から夜の1時まで、途中で花火などで遊びで中断しながら勉強会。翌日も午前中一杯勉強し、午後から遊びに出かけた。今年は、車で行ったので、ほうとうを皆で食べた後、西湖、青木ヶ原樹林帯、八ヶ岳PAと思いつくままに走りまくった。数多くのエピソードを残して、今年の暑い夏も終わろうとしている。


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